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―トルゴヴァーン 星光の炉―
デイス公の支配する領域
星光の炉はアセル・ロゥレンにおいて、あらゆる驚異的な道具や武器を製造する職工たちの領域である。
その領域のまさに中心に位置するブナの下にあるヴァール神の金床は、その鍛冶神の神殿でもあり、夜毎力強い炉の熱気と光に包まれている。
ヴァール神の金床が発するさざ波のような熱気は森の精霊達を呼び寄せ、子供のような姿をした精霊はその金床でハンマーが振るわれる様を覗き込む。
そうした生き物はそこから発する生命力あふれる炎を好んでいるが、それが放置されたり漏れ出すことによって森に害をなすことを恐れてもいる。
デイス公はこの祝福されたエルフの鍛冶場の頭領で、どのエルフの記憶をたどっても最初から頭領であった。
彼はアリエルやオリオンよりも古いウルサーンからやってきた最初のエルフの一人だという噂もある。
或る者は初代フェニックスキングのアナリオンのドラゴンアーマーを鍛えたのは彼だと主張する。
それが本当ならばデイスは何千歳もの高齢という事になるが、その中では時間が止まるともいわれるアセル・ロゥレンの中でもそれはあり得ないと思われている。
なぜならば、デイスがそれ程の高齢であるとするには、彼があまりにも若々しく、せいぜい中年の容貌であるからだ。
彼は誰の記憶よりも前から盲目であるが、それによって彼の技量や仕事の速さが損なわれることはない。
彼は眼が見えない代わりに、手触りと熱した金属による空気の変化を読み取ることが出来るのだ。
そして彼の視覚の欠如は、彼の炉に燃える火のような口調を鎮める事もない。
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領域についてよりもデイスについての説明の方が多いですね。
ドラゴンアーマーが作れるならロゥレンでも作ってほしいものです。
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