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2018年1月9日火曜日

ダンバイン1/72 2体目 第1回 宮武画稿を辿って

 1/72ダンバインは前にも作ったんですが、また作り始めてしまいました。
 ドラムロを作っていてサイズの事が気になったので、キットを仮組して並べてみました。
 
 ドラムロは設定身長7.4メットで6.9メットのダンバインよりも高いのですが、御覧の様にダンバインがやや高い感じです。
 ドラムロの場合最高高さが開いたコンバーターの頂部と言う解釈も有るので、これでもそんなに悪くないのですが、それでもダンバインの背が高いようです。
 劇中で2体の身長差がみられるシーンは第3話「ラース・ワゥの脱出」の冒頭、2話で自分のダンバインを撃墜されたトッド・ギネスに専用のドラムロが届けられて、ショウのダンバインと共にラース・ワゥで先勝パレードをするシーンで両者の背丈が比較できますが、これだとコンバーターを降ろしたドラムロよりダンバインの方がもっと低いようです。
 まあ、アニメの中でのサイズはあまり正確に描かれていない事が多いのですが…
 そして、7年ぶりにダンバインを組んでみて思ったのは、当時思っていた感じよりも悪くないと言う事です。
  
正面は腰、というか脚の付け根以外はさほど悪くないと言う事、肩も跳ね上がりすぎの様に感じていましたが、よく見るとどうも取付角度が違うだけの様です。

 今回参考にしたのは「ゴッド」宮武一貴先生の描き起こしたこの画稿
 
 身長設定が明確に描かれているので読み込んでいたのですが、どうもキットはこの画稿を元に作られているようです。(三面図になっていますし、参考にし易いですね)
 このキットは初期ロットから足の爪と顔が変わっていて、初期ロットはこの画稿に近いフォルムです。(番組途中にTV画面のイメージに合わせて改修したのは英断だと思います)
 この際この画稿のスタイルで製作してみたくなった訳です。
 さらに、どうせ作るなら宮武神奉者である僕としては、宮武先生の画稿に則ったディテールを再現したいと思ってます。


各所にアニメ稿では省略されたディテール、さらに目を引くのはアニメの直剣と違うフォールションカトラスの様な広刃の片刃剣になっている事です。
 放送当時は結構よく見かける画稿でしたが、最近は存在自体を知らない人も多いようです。
 で、それと共に身長も縮めていく訳ですが、画稿と睨めっこしてキットと画稿が一番違う所は足の付け根が腰にめり込んでいる事と共にキットでは球状になっている膝が、宮武画稿では膝の皿の様にめり込んでいる事です。
 そこで膝を切り取ってBJ(ボールジョイント)を組み合わせてみました。
 
 これで脚が短くなった印象をあまり与えずに全体で5㎜程縮みます。
 但し、股関節をめり込ませたら取付位置が下がった為、全体では3歩進んで2歩さがると言った感じです。
 顔についてはダンバイン2000の時もそうですが、髑髏系の顔に拘り続けています。
 今回は、今は亡き模型投稿サイトFGに投稿されていた黒帯ジョージさんの1/48ダンバインの作例で後頭部から楔上に幅増しするのを見ていつかやってみようと思ったので、この際挑戦しました。
  幅増しと共に額を盛り上げて、やや丸顔にしてみました。
 それから眼は奥まって作られる作例が多いのですが、ロボット魂に関する宮武先生のインタビューの中で「ようやく納得のいく顔の造形物が出てきた」というコメントが有り、ロボット魂やダンバイン2000の画稿を調べると、どうも目がやや飛び出した感じにするのが宮武式の様です。

 組み合わせるとこんな感じ。
首は画稿に従うとかなりめり込んだ感じですが、ポージングを考えるともう少しクリアランスが欲しいですね。
 更に身長を縮める為に胸部分で更に切り詰めています。
 肩口に縦に挟んだプラ板は腕を取付ける為の土台です。
そして脚の爪です。
爪は前回作った時に製作方法を決めずに漫然とエポパテを盛りつけた為にエッジが出せずに苦労しましたが、今回は3㎜プラ棒と0.5㎜プラ板で組上げました。
 オーラバトラーの爪は獣の爪の様に作られることが多いのですが、ここも宮武画稿に倣って角ばった形状に、加えて爪の先端は独自の解釈を加えて切削工具の様に面を取ってみました。
劇中で度々敵機のコンバーターを破壊しますが、これならいけそうです。

 腕についても以前に作った時は肩のパッドと上腕の間に球状の肩ブロックを入れて可動の自由度を確保しましたが、今回は画稿に則って肩パッドから直接上腕が生えている形にします。

正直可動範囲はちょっと狭いです。

 コンバーターも前回形状を誤解して手こずった箇所ですが、今回はその経験を生かし、型抜き上不自然になった側面を斜めに、しかもちょっと捻りを入れつつ切り落として0.5㎜プラ板で外端をやや潰しつつ接着します。

コンバーターの取付方法もキットでは背中のパーツに付いた軸に付いている状態から、画稿同様本体背中から直接BJで接続しました。
本体に付けたあと、またプラ板で微調整しています。
宮武画稿版のダンバイン(実はこの頃の呼び名は「サーバイン」だったりします)の大きな特徴は、アニメ版の両刃の直剣に対してナックルガード上の鍔が付いた片刃の曲刀です。
 最近宮武先生が描き下ろすダンバインは直剣になっていますが、ここは曲刀に拘ってみます。
ソードその物は1㎜プラ板を切り出して、グリップと鍔を付けていきますが、握らせるには指が廻り込まなきゃいけないので、今回は右手を分解式にしました。
また、それと共に、前腕の形状も画稿に従ってフォルムを弄っています。
宮武画稿では手首を曲げる為に袖口が大きく抉られているのですが、再現すると可動範囲が劇的に広がってポーズが取りやすくなりました。
これに加え、クローの射出・巻き取り機構が収まる基部をボリュームアップ、爪の取付角度もアニメ版と宮武画稿版とでは少し異なっています。

現在はこんな感じです。
 以前に作った時は6カ月もかかりましたが、この7年間の経験値も有って1月ほどでこの状態に辿り着きました。




2018年1月8日月曜日

ドラムロ 第1回 関節機構、サイズの変更

 最近製作状況をツィッターでアップするとこちらが疎かになりがちです。
 ちょっと唐突ですが、ドラムロの製作を始めました。
 単に前から作りたかったんですが、ダンバインダーナ・オシーと作って「ゴッド」宮武一貴先生のデザインによるオーラバトラーがもうドラムロしか残ってなかったからでもあります。(実はゼラーナも宮武デザインですが)
 そんな訳で積んであったキットを仮組します。

 御覧の通りダンバインのシリーズの中では初期のラインナップでありながらかなり特徴を捉えています。
 但し、関節機構が古く、可動範囲が非常に狭くなっています。
 特に腕については、元のデザインのせいも有って劇中の様に剣を自由に構える事は到底できません。
 また、作ったことがある人ならご存知かもしれませんが、設定身長の7.4メット(1メット≒1m)に対して非常に小さいのが気になります。
 拘る訳じゃありませんが、その辺を中心に、また、宮武神奉者である僕としては、宮武先生による画稿
  に則って製作したいと思います。

 先程書いた腕ですが、ズングリしたスタイルと共に大きな前腕が特徴になっていますが、この部分はソードを掴む爪、主武装のフレイボム(火炎放射器)と機銃(殆ど出番無し)が集中して、ドラムロの独立した武装ブロックとなっています。
 そして大きな爪はキャラが立ってますが、ソードを掴むのやや難ありです。
 宮武先生のコメントでは、量産型という事で最低限物を掴める三本指にしたとの事なので、ここからは俺設定で、
設計者のショット・ウェポンはゲド、ダンバインと人に近いスタイルのオーラバトラーを作ってきましたが、大量生産型のモデルを作るにあたり、手も人型に拘らない事にしました。
 その為大きな爪を付けてソードを捨てようとしたのですが、主君のドレイク・ルフトからソードを持たせる様に指示されたと言う物です。
 劇中で見る限り、ドレイクは兵の士気を維持するのにかなり気を使っている様に思います。
 オーラバトラーの乗り手は少なくとも番組開始時はエリートであるので、騎士のステータスシンボルでもある剣を持たせて兵のプライドをくすぐろうと考えるのは想像に難くないと思います。
 これが技術屋気質のゼット・ライトなら嫌がったかもしれませんが、政治的な判断の効くショットならこういう指示の意味を理解したと思う訳です。
 その結果ドラムロにソードが装備される訳ですが、劇中ではトッド・ギネスのドラムロはショウのダンバイン と結構良い勝負をしているので、見た目よりも上手く剣を使えるんじゃないかと言う事になります。
 そこで剣を扱うのに大事なのが手首の動きなんですが、キットではとてもコントロール出来なさそうなのでこの辺を工夫したいと思います。
 と言う訳で前腕の武装ブロックと肘部のカバーを別パーツ化してBJ(ボールジョイント)で繋いでみました。
 カバーにプラ板が挟まれているのは武装ブロックの可動クリアランスを作る為です。
 また、肘関節もBJ接続しする事で90度程度のロール角を取れるようにしました。
 
  おかげで手の甲側を側面に向けたまま肘を曲げる様な、元のキットでは出来なかった動きが出来、更に武装ブロックもある程度独立可動で手首に近い効果を与えました。
  これをボディに組み込むと、敵にソードを構える様なポーズも自由に取れるようになりました。
それから爪は真鍮線で接続し、若干可動するようにすると共に、これまた俺設定ですが、ソードを掴み易くする為にクワガタの大アゴの様な「返し」を追加してソードが逃げないようにしています。

 脚については身長を大きく左右する部分なので、
1.股関節の位置を上に移動する事
2.太腿を延長する事
3.足を甲高にする事
で脚を延長しました。
 この際脛を伸ばすと脚長イメージが付きそうなので避けています。

膝は鉄アレイ式のダブルBJで接続、可動範囲はそこそこです。
そして上半身と下半身を組み合わせるとこんな感じ

ズングリ感がかなり失せてしまったので肉付けが必要ですね。

 そして一先ずコンバーター
 オーラコンバーターについては一体式と左右分割式の他に、後方噴射式と下方噴射式の種別がある様です。  後方噴射はゲド 、ダンバイン、ビアレス、ライネック、ズワァース それ以外が下方噴射と行った所。  但しビアレス、ライネック、ズワァースの3種は、コンバーターの可動域が広いので、事実上下方噴射も兼ねると思っています。
 残りのゲドとダンバインは比較的軽い機体という共通点があり、推力を全て推進方向に振り向けてプリュウム(翅)の揚力だけで機体を飛ばせると言う考えだと思います。  一方下方噴射で最初の機体はダーナ・オシーです。  下方噴射の方が推力を離着陸に使いやすいので、多分使い勝手が良いんだろうと推測します。
 ダーナ・オシーも比較的軽い機体ですが、ショット・ウェポンの元からギブン家に入った技師の思想から性能より使い易さを優先したと解釈します。  一方ドラムロの場合は、火器等を内蔵して重量が嵩んだ結果、下方噴射にせざるを得なかったと言うのが僕の考えです。
 加えて一先ず形にしたかったゲド、聖戦士専用で、推力不足は乗り手の責任に出来るダンバインと違い、ドラムロは誰にでも使えなきゃいけないので、兵器としての使い易さを優先する設計思想に変えたのでしょう。
 キットのコンバーターはそれほど悪い形じゃ無いんですが、1発抜きのパーツで有ることから来るちょっと単調な印象を変える為、本体のサイズアップに対応する為の2つの理由からエッジ周辺にエポパテを盛りつけてみました。
後部の穴はどうもラフスケッチ段階では後方噴射口の様なので、
一旦くり抜いて裏から改めてプラ板を貼り込み、奥行きを出しています。
 また、裏面はダーナ・オシーもそうでしたが、スカスカだと嫌なので、0.5㎜プラ板で曲面を馴染ませつつ蓋をしています。
後で開口してフィン等を作り込むつもりです。

 ここで漸くパーツを集合させました。




実際には11月後半くらいから作ってるのでもう2カ月くらいになります。

2018年1月7日日曜日

ディオラマ「怪獣殿下(仮)」第2回 完成、千葉しぼり展示会

 あけましておめでとうございます!
 前回の投稿からかなり経ちました。
 ぶっちゃけて言うと完成です。
写真は2017年10月28日千葉しぼり展示会での写真です。
製作期間としてはダーナ・オシーを挟んで5か月くらいになるんですが、まずはゴモラの方から
 前回はパーツを繋ぎ合わせてエポパテでフィッティングをしたところですが、まだ尻尾が短い、というかスイング感が足りなかったので楔上に何か所か延長してみました。
この際捩じりも加え、終端をほんの少し垂らしてしなやかさを演出してみました。
  そして肉付け、撮影用のスーツは中の俳優の動きやすさも考えて作られていますが、今回はもっとマッシブに盛り上げています。
 イメージとしてはゴジラVSビオランテ
のゴジラを少しシェイプアップしたくらいのボリュームを意識しました。
 肉付けしたら表面にグリーンスタッフで体表を作っていきます。
工作の邪魔になるのでこの時に腕は一旦切り離しています。
 皮膚は劇中アラシ隊員が「鉄のように固い」と表現しているので、堅いイメージとしてサイの様なイメージ、腹側の棘と言うかモジャモジャした部分は今回は大振りの鱗と言う解釈で作っています。
  体幹がある程度できたら腕を再接着して腕の表面
スーツでは芝居の付け易さなどの理由で親指が付いていますが、設定の大型肉食恐竜では中々親指がある種は居ないので、これは草食竜ですが、イグアノドンの前脚の蹴爪のイメージで、指ではなく手首から生えている棘の様なイメージにしています。
顔については、肉食の生物っぽさを意識して、正面で焦点が合う様に眼の位置や角度を変えています。
 スーツではぎょろっとした感じですが、瞼を強調したんで少し大人しく見えます。
 見ようによっては無表情で却って恐ろしげな感じになったかと思います。
 造形が済んだら塗装です。
 とにかく元が茶色なので中々色気が出にくいんですが、ジグ・マックの経験を基にカーキ系を主として緑、赤等に少しづつ振りながら塗装しました。
爪は暗めのグレー、特徴的な三日月状の角はレッドブラウンを入れて劇中に近い模様を描きこんでいます。
 顔、と言うか眼はやはり動物を意識して白目が出ないようにしました。
普段から白目が見えるのは人間くらいで、本来は視線を悟られ難い様に白目は見せない物だと聞いたことが有ります。

 続いてウルトラマン
 こちらも前回はパーツをばらして繋いだだけでした。
 ウルトラマンの顔については番組の中で初期、中期、末期でA,B,Cタイプと3種類のマスクが使われていた事が割と有名ですが、今回の怪獣殿下は番組中期なので、Bタイプと言う事になります。
 ラテックス製で皺のあるAタイプに対してなめらかでスッキリとした顔で、後のCタイプに比べると少しふくよかでどこか優しさを感じる顔つきです。
 余談ですが、90年代に作られたウルトラマンティガ
はこのBタイプを下敷きに造形されているそうです。
 で、Bタイプを再現するのにはキットの眼は位置、形状共に邪魔になりそうなので一旦削り込んで平らにしています。
そして鼻先、頬、後頭部(要するにだいたい全部)に手を加えた後目をエポパテでつけました。
顔が形になったら体の方です。
 体についてはスーツの皺には拘らず、40mのややのっぺりした巨人として造形します。
 指はキットのまっすぐな指では表情がない事と、どうも小振り過ぎるので、切り落としてt繰りなおす事にしました。
と言う訳で指をエポパテで一旦ミトンの様にしてから削り込みます。 
指を掘り起こしつつ脚部の筋肉を付けていきます。
 キットの立っている状態に比べ、今回の腰を落とした状態とでは太腿の断面が大きく異なるので、結局一番の大改造になりました。
 但し、足の長さのゲージになるので、キットを使う事は無駄では無かった様に思います。
手足も加工に伴って付け外ししながら作業を進め、表面仕上げの後接着して隙間はグリーンスタッフで埋め、スパチュラで均しています。
 こういう作業に鏝で撫で付ける事が出来るグリーンスタッフは意外と向いていることが解りました。
  塗装については、ウルトラマンと言えば銀色ですが、1/350と言うスケールを考えると安易なメタリックでは巨大感を出せないと思い、黒からNMM(ノンメタリックメタリック=金属色を使わず塗装で照り返し等を表現する事)でやってみました。
NMMは経験が薄いのですが、キットの開田裕二先生の箱絵がとても参考になりました。
 影で黒く見える部分は本当に黒になっています。

 最後はベース
 デコパージュの台に両者を配置して、レイアウトを決め、工事現場のビルはエヴァーグリーンのH型プラ棒等で作りました。

今回ベースについては、自分の技術と時間が追いつかず、非常に不満足な出来ではありますが、何とか完成、展示会への出品に漕ぎ着けました。

 製作は大変でしたが、まともなディオラマは初めてだったのでいい経験になりました。
 また別の形で挑戦したいですね。

 それから、今年もよろしくお願いします。