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―スペルシンガー―
そもそもエルフは魔法的な存在だ。
しかし大抵の者はこの才能が弱いので、何かの前兆を感じ取ったりする程度だが、まれに本当に才能が有る物は、その強力な力を道具の様に使いこなすことが出来る。
そうした力は常に危険をはらんでおり、無思慮な者が扱えば破滅的な結果をもたらす。
他のエルフ達はそうした影響から身を守ろうとする一方、スペルウィーヴァーやスペルシンガー達は、森の眠れる意識と心を接続することで、自分自身を守っている。
この接続によってウッドエルフのメイジはアセル・ロゥレン全体との特殊な関わりを持つようになる。
幾つかの方法を経る事で、彼らはドライアドやツリーマンと同様、大きな知性の一部となる。
このつながりは、森と特に強力なメイジとが知恵や知識を交換することが森自体の再生をするために必要であると互いに認識するものである。
そしてこれにより木々の成長速度を劇的に変える事により、森の中の道の形を変え、侵入者を足止めしたり、エルフ達の展開を早めたりすることが出来る。
ただ、このような策略は必ずしも確実ではない。
というのもロゥレンの森はこうした要望をしばしば拒絶するので、彼らは要望を受け入れる様、説得し、時には騙すような交渉さえする。
ウッドエルフがまれに何かの理由で多種族との交渉に及ぶとき、側近と共に外国の宮廷に赴き外交上の使者の任を与えられるのは、こうしたメイジである。
こうした旅にあるとき、メイジは彼とその同行者を潜在的な危険から守る為に、彼らを物理的な世界から遠ざけておく呪文を使う。
そうした一行がアセル・ロゥレンの使者として出向くときには、半透明に見える為、しばしば各地の農夫たちの間に幽霊の物語として語り継がれることがある。
彼らはウルサーンのメイジの様に整然と系統だてた魔法を実践し、ナーガロスのサディズムに染まることもない為、ウッドエルフのメイジは至高の魔法体系と暗黒の魔法体系の両方の魔法を使うことが出来る。
前者は報復の季節においてアリエルの長年にわたる指導による遺産である。
メイジクイーンの努力にもかかわらず、一握りのメイジは暗黒の魔法に手を染めた為、ウッドエルフはその後も危険性をコントロールしつつ、暗黒の魔法体系を使い続けている。
今までのところ、アリエルの危惧するような狂気に侵されたものは居ないが、将来にわたっては何をもたらすかについては何も解らない。
そして、アセル・ロゥレンにはそのような強力な力を拒絶できる余裕はない。
そして、それは1人のハイ・ウィーヴァーに対して1人のダーク・ウィーヴァーというペアが生まれるという事である。
ダークウィーヴァーが肉を切り裂く魔力の嵐をふるう間、彼女のパートナーのハイウィーヴァーは同盟者を守る為に至高の魔法を行使する。
しかしハイウィーヴァーにはもう一つの役割がある。
それはダークウィーヴァーが使う魔法によっておこる魔力の乱れを鎮め、堕落の力があふれ出すのをとどめる事によって、少なくとも暫くは彼女を狂気から守ることだ。
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文中の「報復の季節」(Season of Retribution)というのはウッドエルフの歴史の解説文の中に登場する言葉なので、こちらを翻訳すると更に理解が深まりそうです。
また、ハイ・ウィーヴァーとダーク・ウィーヴァーの解説の中ではダーク・ウィーヴァーに対して明確に彼女(her,she)という表現がなされていて、ダークエルフのソーサレス同様、暗黒の魔法体系を使うのは女性だけという括りが有るようです。
ハイとダークのペアはルール上は使ってみないと解りませんが、ミニチュア的には見栄えがしそうなので、1組で作ってみたいですし、高ポイントのゲームでは1度は使ってみたいです。
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